【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その11
前回まで
特許事務所で一緒に働く彼氏持ちの美奈にまんまと利用されたわたなべ。麻衣子という彼女に振られ、年下の美奈に利用され、どん底の気分を味わうわたなべであった・・・。
恋愛工学 ぼく愛 徹底解説 その11
美奈に上手に利用されてからというものの、わたなべの生活はなんら変わることはなかった。
北品川と田町を往復する。寝る、食べる、通勤、山のような書類仕事、そして、風俗嬢の手の中や口の中でする射精。
僕のこうした活動のすべてが、わずかながら日本経済に貢献していた。
掃き溜めのような人生を漂っていた。
非リアのわたなべは週末に会う恋人もおらず、いつも一人で過ごす。
たまに家の近くの可愛いカフェ店員目当てに、そのカフェへ読書しに行くのがささやかな幸せだった。
ある日突然その可愛い店員が話しかけてくるも、非モテで女性に免疫のないわたなべは気の利いた会話もできなかった。案の定その店員との会話はすぐに終わる。
読書を終え、家に帰ろうとするわたなべを突然先ほどの店員が呼び止める。
どうやら今日読んでいた本を店に忘れていったらしい。
彼女は本の題名を見て、内容をわたなべに尋ねる。
「アルジャーノンに花束を・・・。どんな話なんですか?」
その可愛い店員に緊張しながらも、わたなべは本の内容の説明をしてあげる。
一通りの説明を終えると、彼女は言った。
「なんか面白そうな話ですね」
「わたし、もどらないと。また、コーヒー飲みに来てくださいね」
こんな何気ない会話も、わたなべにとってはこの数ヶ月で一番のいい思い出となる。
だが、もし次に彼女に会った時、自分が非モテであることがバレてしまうことを極端に恐れたわたなべは、そのカフェに行くことをやめてしまう。
自分が非モテである現実を突きつけられるよりは、彼女とささやかな会話をしたことをいい思い出にした方がいいと思ったからだった。
恋愛工学生の視点
麻衣子に振られ、美奈にも恥をかかされたわたなべのような非モテ男性は、一旦女性と出会う機会がゼロになってしまうとそこから新たに出会いを作ることができなくなる。
今まで女性との出会いや付き合うか否かをすべて運に任せていたからである。
そうなってくると、非モテ男性は自分の行動範囲内(会社、サークル、行きつけの飲食店、美容院など)でなんとか女性と仲良くなれないかなと淡い期待を持つ。
が、もちろんそんな出会いなど非モテ男性に訪れるわけもなく、ただただ遠くからじっと見るだけのさらに気持ち悪い非モテ男性に成り下がる。
わたなべのように、たまたま好意を寄せているカフェ店員に話しかけられても、非モテは応対する準備をしていない。
なので、大した会話もすることができず、神様がくれた千載一遇のチャンスも逃してしまう。
さらには、被害妄想、誇大妄想をこじらせて、そこのコミュニティや場所に自ら出向くのをやめてしまう。
そんな後ろ向きな男に女性が惹かれるわけがない。
非モテの状態に陥ると、さらに深い非モテ世界へと落ちていくのだ。
恋愛工学でも、非モテコミットは最大の悪、と考えるのもこのような点が理由となる。
どん底のさらに下の方へ堕ちていくわたなべまさき。
彼は今後、いつ、どこで、どうやって恋愛工学に出会い、人生を変えていくようになるのか。
こんなどん底の非モテであるわたなべも、恋愛工学によって変わることができるのだろうか。
次回へ続く