【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その14
前回まで
六本木のバーで永沢の華麗なるナンパ術を見せつけられたわたなべ。居ても立ってもいられなくなり、永沢を飲みに誘い出し、本音を隠しつつ女との出会い方を教わろうとするわたなべ。だが、そんなわたなべの心を見透かすように永沢は言った・・・。
恋愛工学 ぼく愛 徹底解説 その14
「お前、本当はセックスがしたくて、したくてしょうがないんじゃないのか?」
グサリとわたなべの心に突き刺さる。これほどまで図星と言う言葉が似合う時があっただろうか。
永沢が言うには、わたなべの今までの恋愛の戦法は非モテコミットとフレンドシップ戦略とのこと。これでは女とセックスできるわけがない哀れむような口調で永沢は言う。
結局、欲求不満の男がちょっと優しくしてくれた女性を好きになって、必死になって好かれようとする姿は、女性からの利用と搾取しか生まない。
このことは、麻衣子や美奈との一連の出来事を思い返せば明らかなことだった。
永沢はこれまでのわたなべの恋愛戦略がいかに駄目であったをとき、そもそも恋愛や好きな女のことを神聖なもの、特別なものに思っていないか、と尋ねる。
「いや、恋愛は、やっぱり特別ですから」
「そんなことはない。恋愛も、勉強や仕事といっしょだ。最小限の努力で最大限の成果を得る。恋愛なんて、ただの確率の「ゲームに過ぎないんだから、正しい方法論があるんだ」
永沢はそう言うと、テーブル上の紙ナプキンにある数式を書き始めた。
モテ = ヒットレシオ × 試行回数
ヒットレシオとは、男が女性とセックスできる確率。
試行回数とは、男が女性と知り合い、連絡先を交換、デートに誘い手を繋いだりキスしたりして、最終的にセックス打診をする一連の流れの回数のこと。
女性とセックスしてモテる男になるには、この数式通りに行動すればいいと言うのだ。
おもむろに永沢は時間を確認し、手元のスマホからLINEを開く。
ずらっと並ぶ可愛い女性の中から、最近デートしてセックスした女性にLINEを送る。
すると即座にその女性からLINEがあり、すぐさまこれから永沢とのデートが決まる。
「このヒットレシオと試行回数を最大化するために、様々な恋愛工学のテクノロジーが開発されているんだ」
「れ、れんあいこうがく?」
「進化生物学や心理学の膨大な研究成果を基に、金融工学のフレームワークを使って、ナンパ理論を科学の域にまで高めたものだ」
恋愛を運とスキルのゲームとして捉える永沢が多くの女性とセックスし、一人の女性にコミットし幸せにしたいと願っていたわたなべが女性から利用され搾取される。
こんなセックス不足のわたなべでも、恋愛工学を習得すればたくさんの女性とセックスできる男に生まれ変わることができるのだろうか。
それまでの話を聞き、わたなべはついに決意する。
「永沢さん、僕に恋愛工学を教えてください!」
恋愛工学生の視点
モテ = ヒットレシオ × 試行回数
これは、恋愛工学テクニックで「スタティスティカル・アービトラージ」と言うテクニックだ。
モテる確率を上げ、さらに女性と出会ってセックスしようとする回数を最大限に増やすことで、セックスできる確率を上げると言う戦略。
この戦略はシンプルでありながらも、成果を最大限発揮する方程式である。
モテる確率を上げるには、女性が好きになる男性像をイメージし、それに近づく努力をすること。
筋トレや金稼ぎ、非モテ臭をなくす、女慣れする、堂々と話す ・・・
これらを毎日意識してヒットレシオを上げる。
非モテはなんだかんだ言い訳をして、このヒットレシオを上げる努力を全くしない。それでいて「全然モテない」と嘆くばかり。
さらに試行回数を増やすには、何とか女性と出会う回数を増やす努力が必要なのだが、非モテはこれもおろそかにする。
楽してモテようと、同一コミュニティ内で恋愛対象を探し非モテコミットするので、余計相手の女性に相手にされずにキモがられるか、利用され搾取されるのだ。
ちょうど美奈に利用されたわたなべのように。
このモテる方程式の存在を知り、自分も変わりたいと強く思ったわたなべまさき。
そしてついに恋愛工学の存在を永沢から知ることになる。
恋愛工学を教えて欲しいと永沢に嘆願するわたなべ。
永沢はこれを受け入れるのだろうか。
わたなべは恋愛工学を習得し、モテ男へと変身する一歩を踏み出そうとしていた。
次回へ続く