【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その17
前回まで
出会いのトライアスロンと称し、永沢と男女参加者200人程の街コンに初参加したわたなべ。1日に50人の女性と出会うと宣言していた永沢の案内の元、指定の居酒屋へと足を踏み入れる。
恋愛工学 ぼく愛 徹底解説 その17
街コン指定の居酒屋に入り、店員の案内の従いあるテーブルに座る永沢とわたなべ。
しばらくすると、女性二人組が店員に促されて彼らのテーブルに座ってきた。
街コンのルールがいまいちわからないわたなべは戸惑うが、店員が飲み物のオーダーを取りに来たことで4人の沈黙は少しだけ和らいだ。
とりあえずビールを注文し、永沢がフリーフードとなっている食べ物を取って来ましょうかと断りを入れて、会の開始を待つことにした。
その直後、街コンスタッフの方から街コンのルールを説明される。
東京駅グルメ街コン
・開始から30分は現在のテーブルで相手と話す
・食べ物、飲み物各種はフリー
・30分後には席替え
・開始1時間経過後はフリータイムとして、店舗の移動も可
一通りの説明が終わり、店舗スタッフの合図の元、乾杯と共に街コンがスタート。
永沢とわたなべ、そしてそこに座った2人の女性は注文したビールで乾杯する。
「ビールおいしいですね」
「うん、おいしいね」
茶髪の女の子と黒髪の女の子がうなずく。
「ビール好きなの?」
と永沢が女の子に聞くと、黒髪の女の子がそれに答える。
「私はビール好きです」
そんな会話をしながら、互いの自己紹介をする。
茶髪の女の子は「由佳」、黒髪の方は「恵子」だという。
わたなべが自己紹介をして仕事は弁理士だと伝えるが、馴染みのない仕事なので女の子2人はいまいちピンと来ていない。
「恵子と由佳は同じ会社?何してるの?」
と永沢はいきなり女の子2人を呼び捨てにして話しかける。
恵子はインターネット広告会社のデザイナー。由佳はその会社の事務職だという、
「圭一さんは何しているんですか?」
「株式投資」「資産運用会社でファンドマネージャーしてるんだ」
株に関する仕事をしているなら、儲かる株を教えて欲しいと頼む女の子2人に対し、永沢は冷たくこう答える。
「(儲かる株が)そんな簡単にわかったら苦労しないよ。それにわかったとしてもお前らには絶対に教えない」
「いじわる!」
と言いながらも、会話を楽しんでいる様子の女の子2人。
その後住んでる場所を教えあったりして、4人の会話はどんどん進んでいく。
すると、永沢がおもむろに肌が綺麗だと恵子に話しかける。
そんなことないですと言いつつも照れる恵子。
すかさず永沢が怪しいと勘ぐる。
「お前、そのきれいな肌、フォトショップで修正してるだろ?絶対、フォトショップでシミとかシワとか全部取ってるだろ?」
わたなべからしたら恵子に失礼に思われるかもしれないと心配してしまうような言葉を永沢が言ったその時だった。
「キャハハハ」と恵子。
プッーとビールを吹き出す由佳。
めちゃくちゃウケている。
永沢がその言葉を恵子に伝えてテーブルが笑いに包まれた次の瞬間、恵子の表情がうっとりとして、好きな人を見るような目で永沢を見つめているのをわたなべは見逃さなかった。
まるで飼い主から餌をもらう時の子犬のような表情で、恵子は永沢から次の言葉を待つようになっていた。
恋愛工学生からの視点
いよいよ恋愛工学の真髄を見ることができる段階となって来た。
・恋愛工学は沈黙を恐れない
居酒屋に入店し、由佳と恵子が座ってから会が開始するまで、わたなべは沈黙におどおどしていた。がしかし、永沢は至って冷静。
永沢のように恋愛工学を体得した男は、沈黙など一切恐れない。沈黙に耐えきれずにヘラヘラ話を始めてしまうのは非モテがやることだ。
・イエスセット
女性がイエスと答えやすい質問を意識的に何度も投げかけることによって、自然と男女間でラポール(※)を形成し、その後の会話や関係においても女性が無意識のうちにイエスと答えてしまう状態を作る恋愛工学テクノロジー。
恵子との会話で、ビールを好きか聞いたり(ビールを美味しそうに飲んでいるのでイエスと答える)、フォトショップを扱っているか聞いたり(ほとんどのデザイナーが使えるからイエスと答える)して、イエスの回数を増やす。
(※)ラポール・・・心理学用語。「心が通い合っている」「どんなことでも打明けられる」「言ったことが十分に理解される」と感じられる関係。
・脈ありサイン
女性が男性に対して興味があることを示す態度や行動、言動を示す。恋愛工学では、この女性からの脈ありサインを上手に読み取ることによってその女性が自分に興味を持っているかどうかを的確に判断し行動する。
恵子と由佳が永沢に株式投資について色々教えて欲しいと会話を続けようとしたことが一つの脈ありサイン。本来女性は興味のない男性との会話は続けようとしない(社交辞令は別)。
・ディスりの技術
女性が会話を続けようとした時に、相手の質問をはぐらかしたり真面目に答えなかったりすること。相手の欲している質問の答えなどを要望通りに与えないことで、女性よりも男性の方が上の立場、上のランクにいるんだということを強調する技術。恋愛工学では、このディスりの技術を上手に使うことで強烈に相手の女性からの興味を引くことができると言われている。
恵子と由佳が儲かる株を教えて欲しいと永沢に頼んだ時、知っていても絶対にお前らには教えないと冷たく否定した。このディスりによって彼女たちは自分たちより永沢の方が賢く上にいる人間だと認識する。それと同時に、恵子の声が甘えたような声に変わったという脈ありサインが出ることになる。
すかさずフォトショップのジョークを恵子に言うことです、さらに恵子の永沢に対する興味が湧いて来て、永沢をいい男(友だちフォルダではなく、男フォルダに仕分ける)として見るようになる。
短時間の間(60分以内)でこれだけの恋愛工学のテクニックをさらっと繰り出す永沢。非モテのわたなべには出る幕など全くない。
恵子は永沢からディスられているのにも関わらず、永沢に惹かれている。これが恋愛工学の威力である。
次々と繰り出される恋愛工学のテクニックを、非モテのわたなべは理解し、自分のものにして女性をうまく魅了することができるのだろうか。
次へ続く
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