【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その18
前回まで
永沢の繰り出す恋愛工学のイエスセット、ディスりがワークし、恵子と由佳は会話を楽しんでいる。これが恋愛工学の威力なのかと、その凄さを目の当たりにするわたなべであった。
恋愛工学 ぼく愛 徹底解説 その18
永沢がフォトショップのユーモアで恵子と由佳を笑わせてから、一気に4人の距離が縮まった。
それから、由佳がわたなべと永沢がどのように出会ったのかを質問する。
特許侵害に関する調査をわたなべの事務所に永沢が依頼したこと、その担当がわたなべだったこと、後日飲みに言った時にわたなべが彼女と別れた話を永沢に伝え、こうして街コンへ永沢が誘ってくれたこと、をわたなべは説明した。
恵子は永沢のことが気に入ったようで、永沢に特定の彼女の存在、結婚願望の有無などを聞くが、永沢は一向に相手にせず軽く受け流す。
完全に恵子の心は永沢にキャッチされているようだった。
そうこうしているうちに、席替えタイムとなる。
「じゃあ、LINE交換しようか?」
と切り出す永沢。
あれほど女性と会う機会が少ないと嘆いたわたなべだったが、短時間のうちにもう2人の女の子の連絡先を手に入れてしまったのだ。これにはわたなべも驚きと興奮を隠せない。
すかさず次の席へと移動する。
こちらの女の子2人は明らかに片方が美人で、片方がちょっと太った普通以下の容姿。
席に着くと、永沢は明らかに太っている方の女の子(名前は春奈)と積極的に話をしている。アニメの話で盛り上がっている。
美人の方の女の子(愛子)も会話に入ろうとするも、永沢は愛子を無視して春奈と話を続ける。
そんな状況に気を遣い、愛子に話しかけるわたなべだが、それはそれで愛子に無視される。
これは美人をなんとかしろと言う永沢からのメッセージと受け取り、釈然としないまま愛子との会話を盛り上げようとした声も、フリータイムを告げるスタッフのマイクの音声でかき消された。
「これからフリータイムがはじまります。他のお店にも自由に移動できます。本日の街コンをお楽しみください」
さっきの恵子と由佳の時のように、愛子と春奈ともLINE交換をするのかなと期待するわたなべをよそに、永沢はこう言った。
「俺たちは他の店に行きます。また、どっかで会うかもしれないですね」
なんとLINEの交換もせず、席を離れようとしたのだ。
せっかく街コンにきているのにLINEの交換もしないなんて勿体無いと思っているわたなべも、今回は永沢に従うしかなかった。
すると、一度席を離れた永沢が後ろを振り返り、立ち話をしている愛子と春奈の元へ歩み寄る。
「愛子」
「また、会いたいんだけど、どうすればいいかな?」
「えっ!?・・・私でよかったら、また会いたいです」
「ありがとう」
と永沢。
「電話番号の交換してくれますか?」
美人の愛子の方から永沢の連絡先を教えて欲しいと言っている声を、わたなべははっきりと聞いたのだった。
恋愛工学生の視点
恵子と由佳との会話で恋愛工学のウォーミングアップは済んだと言ったところである。
恵子からの脈ありサインは誰が見てもはっきり出ていた。
女性の方から男性に特定の彼女の有無や、結婚に対する考えを聞くなんて脈ありサイン以外の何ものでもない。
ここでは街コンのシステムを上手に使って、席替えになるや否や連絡先の交換をスムーズに行うところも見習おう。
だらだらと話を続けてLINE交換の打診もせずにいると、女の子の方も興ざめしてしまう。
恵子と由佳とLINE交換してからは、次のテーブルの春奈と愛子だ。
明らかに愛子の方が美人とわかるこの状況。おそらくほとんどの男性が、春奈をないがしろにして愛子に集中するだろう。
そこを永沢は全く真逆の行動に出る。愛子を無視し、ブスな方の春奈と話を積極的にしたのだ。
普段男性からチヤホヤされているであろう美人の愛子を無視して、明らかに容姿の劣る春奈と話をすることによって、愛子の女性としての価値は普通なんだ、永沢さんよりは下なんだと暗に伝える。これもディスりの技術だ。
最後まで話ができなかった愛子に、永沢は席を離れた後わざわざ引き返して愛子にまた会いたいと伝える。
そうすることによって、マイナスからプラスへと感情が移動した愛子は永沢さんに一気に興味を持つ。自分から電話番号を教えて欲しいと言ったのはそのためだ。
何気ない仕草や話し方、話す順番にもそれぞれの意味がある恋愛工学。
一見高度な技術で、なかなか非モテには使いこなすのが難しそうに感じる。
わたなべは本当にこの高度に見える恋愛工学をマスターすることができるのだろうか。
出会いのトライアスロンはまだ始まったばかりだった。
次回へ続く
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