【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その3
プロローグが終わり、いよいよ本編突入となる。
最初の舞台は東京都田町駅にある【青木国際特許事務所】のオフィス。
この物語の主人公であるわたなべまさきは、この事務所で働く26歳の若手弁理士。
弁理士なんて聞いたことのない職業だ。この辺りは、作者である藤沢数希氏のこだわりが見て取れる。
広告代理店や商社、メーカーなどのサラリーマンに設定してしまうのは簡単だが、弁理士という一般の人間にはあまり馴染みのない職業を選ぶあたり、作者の知識の豊富さを物語っている。
事務所で一番年下の主人公わたなべ。彼には麻衣子というガールフレンドがいる。
この日もわたなべは麻衣子とデートの約束をしていたのだが、彼女に急なミーティングが入ったということで泣く泣くキャンセルしたようだ。
そんなわたなべを同じ事務所で働く美奈という女の子が茶々を入れる。この美奈という女の子、どうやら可愛らしいようで、デートをドタキャンされたわたなべは美奈が好きになりそうになる。
モテない男性は、例え特定の彼女がいてもモテない。むしろモテないのに彼女がいることが珍しいのだ。
セックスをする相手がその特定の彼女しかいない男の場合、その二人の付き合いは彼女に握られてしまうのは当然のこと。
わたなべ自身も、麻衣子のデートキャンセルに関して何も言えていない。今わたなべが出来る事は、ドタキャンした麻衣子を許し、また会える日を待ち望む事しかできない。
麻衣子へ
急に仕事が入っちゃうこともあるよね。
お仕事がんばってね。
またディナーしたいです。
都合がいい日を教えてください。
まさき
ドタキャンされたわたなべには、力無い指でこのメールを麻衣子に送ることしかできないのが悲しい。
モテ男ならば、例え女の子からデートをキャンセルされたとしても、他の女性に連絡すればいい。そもそも、モテ男は女の子からドタキャンされることなんてないだろう。
女の子がなんとかして会いたいと思う男性がモテ男なのだ。
先ほどのメールを送ってから、3日間はわたなべの元へ麻衣子から連絡が来ることはなかった。
現代の携帯電話事情、メール事情から考えても、特定の彼氏のメールへの返信を3日間も放置するのはどう考えても不自然。
わたなべ自身が麻衣子からどう思われているのかが想像できる。
麻衣子から返信があるまでの3日間、わたなべは隣の席にいる美人人妻の水野友美の妖艶な魅力に鼻の下を伸ばしたり、資格試験の勉強をしながらアシスタント業務につく原勇太のフォローをしつつ、仕事に忙殺されていた。
そんな中での麻衣子からのメール返信。
明日の夜なら空いてるよ。ご飯食べに行く?
これにはわたなべも一安心。3日間返信を放置されたことなどすぐに忘れ、即レスでOKとメールを打つ。
もちろん。有楽町のイタリアンを予約しておくよ。
特定の彼女と言いつつも、デートをドタキャンされた挙句3日間も返信を放置していた麻衣子。
それにすぐに反応してしまうわたなべ。女の子に主導権を握られた悲しい男の姿がここにある。
そんな麻衣子との明日のデートはうまく行くのだろうか?
次へ続く