【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その6
前回まで
クリスマスに30万円のバッグを買うと約束してしまったものの、なんとか無事に麻衣子とセックスできたわたなべ。順調に進んでいた二人だが・・・
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麻衣子は今シャワーを浴びている。
彼氏の前で何をそんなに警戒しているのかわからないが、麻衣子はいつもシャワーを浴びるときは自分の衣類とバッグを一緒に持っていった。
が、この日に限って麻衣子は携帯電話をフローリングの床に忘れていった。
すると、ひとつのメッセージが携帯の画面に表示される。
明日の23時なら空いているから、うち来る?
(あきひろさん)
わたなべの時間が一瞬止まる。何が何だか分からなくなる。
どう考えても浮気の兆候だ。
浮気している人間は、なぜか脇が甘くなる。なぜかバレるのだ。大体は携帯電話経由でのメッセージなのだが。
おそらく本命以外の異性と一緒にいる場合、心のどこかで「別にバレてもいいかな」という気の緩みがあるのだろう。
もし相手が本命の彼氏彼女で、絶対に別れたくないのであれば浮気なんかしないだろうし、例え浮気していたとしても細心の注意を払ってバレないようにするはずだ。
だが、優先順位が2位以降の人間の前ではどうしても脇が甘くなる。対応が雑になってしまうんだ。
この麻衣子の心理状況はまさにこのような状態なのだろう。
浮気をする麻衣子が悪いのか、浮気されるわたなべが悪いのか。恋愛工学の知見としてはどうなんだろうか。
先に進もう。
その場ではあきひろの事は指摘しなかったわたなべ。
麻衣子が寝静まった後、どうしても疑問が晴れずに寝ている麻衣子の指を彼女の携帯電話に当てて指紋認証ロックを外す。
人は見てはいけないとわかっているものほど、見たくなるもの。
「あきひろさんに会いたくなっちゃった」
「いつなら会ってくれるの?」
いつかのわたなべとのデートでディナーの後に急に帰った日のあきひろとのメッセージのやり取りも見てしまう。
「会いたいけど、今夜会いてる?」
「空いてるよ!嬉しい!」
(可愛いマスコットが抱き合うスタンプ)
結局麻衣子が浮気をしている事実を知ったわたなべは絶望感に打ちひしがれる。
浮気をしている事は許せない。だが麻衣子のことが好きで、失いたくない。
こうした失う勇気を持てない男性が、女性には逃げられる。
翻って、例え目の前の女の子を失っても、また別の女の子を探せばいいと思う男性がモテる。相手の女の子に執着しない態度が余裕を生み、その余裕たっぷりの態度が女の子を魅了するんだ。
結局、麻衣子は完全にクロ。デートをドタキャンした日にも、このあきひろってやつと会っていたことがメールのやり取りで発覚する。見なきゃいいのに・・・。
わたなべはこの日一睡もできずに朝を迎える。
浮気をした麻衣子の寝顔はやっぱり可愛い。愛おしい。
惚れたもん負けが恋愛のルール。わたなべは麻衣子の浮気を許そうと決心する。
そして朝を迎え、何も知らない麻衣子がベッドで目を覚ます・・・。
次回へ続く