【恋愛工学とは何か】ぼくは愛を証明しようと思う 徹底解説 その7
前回まで
偶然麻衣子の携帯のメッセージを見て、麻衣子の浮気を確信したわたなべ。だが麻衣子の事が好きなわたなべは浮気を許すと決心する。そんな中、何も知らない麻衣子が目を覚ます・・・
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まるで麻衣子が浮気をしている事実を払拭するかのごとく、健気にわたなべは朝食を作り麻衣子が起きるのを待った。
徹夜だったけど、不思議と気分はすっきりとしていた。許す、と決めたら心が軽くなったのだろう。
ささっとサラダとトーストをテーブルに用意し、起きてきた麻衣子を迎える。
浮気を許すと決めたものの、やはり事実確認だけはしておきたいわたなべは、勇気を振り絞って麻衣子に話しかける。
「あきひろって誰?」
「えっ、なんのこと?」
「浮気してる?」
「そんなことするわけないじゃない」
「正直に言ってほしい」
「だから、なんなの?」
「じつは、携帯見ちゃったんだ」
麻衣子の顔が青ざめたように見えたが、すぐに僕を睨み返してきた。
「あんた、人の携帯見るなんて、サイテーだね。そんな卑怯な人だと思わなかった」
まさに修羅場。しかも浮気を許そうとやんわり聞いたわたなべが、浮気をしている麻衣子に恫喝されている。
惚れたもん負けが恋愛のルール。
もちろん麻衣子は怒ってわたなべの部屋を出て行く。
悪いのは麻衣子なのに。
浮気をしていたのは麻衣子なのに。
なぜかわたなべが一番疲れ切っていた。
人間、図星を指摘されると怒り出す。
浮気をしていた事は棚に上げ、携帯を盗み見た罪を犯したわたなべを叱責する麻衣子はその典型だろう。
その日と次の日の土日、わたなべは動く気がせず1日中家に引きこもる。
もちろん麻衣子からの連絡は一切ない。
こうして麻衣子を失ったわたなべを通してみると、モテない男性の本性が見える。
浮気を知らない方が良かったと自分を責める。普段からセックス不足の生活を送っているため、たまにでもいいからセックスをさせてくれる女性に頭が上がらなくなる。
そんな関係性だから、彼女が好き放題振舞ってもそれを黙って受け入れるしかない。なぜならセックスがしたいからだ。
世の中の男性は、2割のモテる男性と8割のモテない男性が存在する。
その2割のモテる男性が複数の女性を囲う(複数恋愛、本命彼女以外をセフレ化)ため、8割のモテない男性たちは必然的にセックス不足に陥る。
ここで言えば、わたなべはマジョリティの8割に属するモテない男性群。
麻衣子の浮気相手のあきひろはマイノリティの2割に属するモテる男性群。
モテないわたなべは麻衣子に逃げられ、おそらく他にもたくさん女がいるイケメンあきひろは何もせずとも麻衣子のような女が寄ってくる。
なんとも不条理ではあるが、これが世の中の真実なんだ。
恋愛工学は、この8割のモテない男性たちを救う究極のメソッドなのだろうか。
こんなにモテないわたなべも、恋愛工学によって2割のモテる男性陣に加わる事ができるのだろうか。
次回へ続く